☆アルツハイマー型認知症発症後☆2011年の運転免許証返納から5年。 父は既に多くの言葉を忘れ 日常会話は殆ど出来なくなっている。 立ち上がれば歩けるものの 布団の寝起きすらままならなくなっている。 ここに至るまで ほんのわずかな時間だった。 父は全人口の1.2%に見られる 全く精神的に落ち込まない性格らしく 認知症だと診断が下った後も 特に落ち込むこともなく 好き勝手に生活していた。 「脳トレ」が認知症の進行を遅らせること。 「アルコール」が認知症を進ませること。 「うたた寝」が認知症を悪化させること。 家族が必死に色々な情報を集めるも 「我関せず」とばかりに耳を傾けず 脳トレの本を投げ出し 地域の敬老会で酩酊するまで酒をあおり 食後のうたた寝を止めることは無かった。 こうやって 認知症の進行を抑える最適な時期を ムダに過ごしてしまったのだ。 最適な時期は突然終わりを告げた。 2014年7月末 父は毎日の日課にしている 午前中の散歩から帰って来られなくなった。 あまりにも遅いからと 携帯電話のGPSを頼りに迎えに向かったところ 家とは真逆の方向に歩いていた。 汗だくで歩道に立ち ペットボトルのスポーツドリンクのキャップを 開けている最中の父を発見したが 明らかにペットボトルは開けたばかりだった。 自宅から 10q 近く離れた道を 帰り道だと思い込んで歩いていたらしい。 間違いに気付くことなく。 「なんでスポーツドリンクを飲まなかったの?」 母の問いかけにも へらへらと笑うばかりで答えることは無かった。 翌日父は 半分気を失い掛けながら 午前中の散歩から帰ってきた。 八月を目前に猛暑と言える気温の中 意識朦朧の状態で玄関ドアを開けたのだ。 昨日に続いて今日も スポーツドリンクを飲んだ形跡がない。 喉が渇いたら水分を補給する という基本的なことを忘れてしまったのだ。 父は8年前の 2006年に脳梗塞をしているが そのときの症状と酷似していると感じられたので 即刻かかりつけの病院に連絡を入れた。 すると当院では対応できないと言われ すぐに近くの救急病院の手配をしてくれた。 辛うじて会話が出来る状態だったので 救急車は呼ばず自家用車で父を搬送することに。 救急病院に到着するとすぐに看護師が駆けつけ 車いすに父を乗せて処置室に運び入れてくれた。 すぐにMRIを撮り 脳梗塞の可能背を疑いながら処置が続いた。 一時間以上経っただろうか 脱水症状による意識の混濁であったことが判明した。 ほっと胸をなでおろしたものの この日を境に明らかに父の様子が変わった。 「物忘れ」から大きく症状が進行し アルツハイマー型認知症を意識させる症状が 頻繁に出るようになったのだ。 (H28.12.02) |